「少女」と「母親」。


「みぃ♪」
「あら、あなた……」
夕食の買い物袋を手に家へと向かう私の前に、長い髪の少女が現れた。
「こんにちはなのです。」
「はい、こんにちは。……あなた、梨花ちゃん?」
「ボクを知っているのですか?」
大きな瞳をさらに大きく見開いて私を見上げてくる。……なんとも可愛い。
あの人が見たらさぞ創作意欲をかきたてられることでしょうね。
「ええ。圭一からいつも話を聞いてるわ。古手神社の巫女さんなんですってね。」
「はい、そうなのですよ。にぱ〜☆」
「……ね、梨花ちゃん。おばさんとちょっとお話しない?」
「はい。ボクもお話したいのですよ☆」
……よかった。二人並んで、近くの石に座る。
「はい、どうぞ。」
「にぱ〜☆」
買ってきたばかりの缶ジュースを差し出すと、満面の笑みで受け取ってくれた。
――うん、女の子も欲しかったわね。
「改めて自己紹介ね。……私は前原藍子。よろしくね梨花ちゃん。」
「はい。よろしくお願いしますですよ☆」
カナカナ……。
ひぐらしの合唱の中、二人同時にジュースを飲み、涼しい風を身に受ける。
夕焼け空がとても綺麗。とても、穏やかな時間――。

「……ね、梨花ちゃん。」
「――なんですか?」
「圭一は、学校でどうかしら?お友達と仲良くできてるかしら?
 勉強の方はいいの、……笑顔でいてくれてるかしら?」
「………………。」
私とあの人は、自分たちのことばかりで圭一のSOSに気付けなかった。
圭一をあそこまで追い詰めて、そしてとうとうあんなことに――。
……圭一には苦しんできた分、新しい土地で、新しい幸せを見つけて欲しかった。

「こくこくこく……ぷはー。」
ジュースを飲み終えると、梨花ちゃんは私の前に立った。
「ボクも……レナも魅ぃも沙都子も、みんなみいんな圭一を大好きなのです。
 圭一に会えて本当によかったと思っているのです。」
――よかった。こんな短期間で新しい環境に打ち解けることができたのね。
ここの空気のおかげかしら?

「だから――――」
「――――――?」
夕日を背にした梨花ちゃんの顔つきが、変わる。
とても大人びた、不思議な表情に――。
「この先何があっても、哀しまないで。ここに来たことを、圭一を産んだことを後悔しないで。
 私たちはみんな、圭一を大好きなのだから。」
「え?ええ。……もちろんよ。」
ザワ……。
梨花ちゃんの髪が、風になびく。
なぜかその髪に、その闇に取り込まれそうな気がして――。
「………………っ!」
カラン、パシャ……。
飲みかけの缶を取り落としてしまった。

「――大丈夫ですか?」
「……あ、ええ、大丈夫よ。……ありがとうね。」
梨花ちゃんが心配そうに覗き込んでくる。
――いけない。私ったらどうしたの。
慌てて缶を拾い上げ、梨花ちゃんの飲み終えた缶と一緒に袋にしまう。
「それではボクは失礼しますです。ジュース、ごちそうさまでしたですよ☆」
「あ、はい。今度みんなでウチに遊びに来てね。歓迎するわ。」
「みー。その時を――楽しみに楽しみにしてるのですよ♪」
嬉しそうな、けれどとても哀しそうな笑顔を見せ、少女は走り去っていった。

………………。

まさか、ね。
梨花ちゃんもみんなも圭一を大好きだって言ってくれてるんだもの。
この雛見沢で、今度こそやり直せる。
やり直してみせる。
大丈夫よね、圭一――――。


「……その、もしもだよ?俺が死んだらさ。
 ……俺の部屋にある時計、あれを棺に入れてほしいんだ。」







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