神はかく語りき。


私は愉悦の表情を浮かべながらタクトをふるう。
とても心地よいひととき。
脳裏に響き渡る2千人もの断末魔のうめき声が奏でるシンフォニー。

ぱかん。
――そんな間の抜けた銃声も、前奏曲としては悪くなかったわね。
あの生意気で可愛い子たちが、私が指先に軽く力を加えただけで、
あっけなく命を散らした。
うふふ。みんな個性的で面白かったわ。

魅音ちゃん。
あの園崎の次期頭首があんなに動揺するとはね…。
やっぱり前原くんを先に済ませておいて正解だったわね。
彼がリーダーみたいなものだったもの。
刺青も素敵だったわよ?胸を張っていいのにね。くすくす。

詩音ちゃん。
勇ましかったわね。沙都子ちゃんの本当のお姉さんみたいだったわよ。
ほんの数秒時間を稼いだところで何の意味もないのに、健気だったわ。
でも、冥途の土産はお預け。

レナちゃん。
……莫迦な子ね。「神」は私なのに。
何もできない名前だけのオヤシロさまにすがりついて、滑稽だわ。
――あなたにもこの素敵な交響曲を聴かせてあげたかったわね。

沙都子ちゃん。
必死に考える沙都子ちゃん、可愛かったわ。
最後に正解できてよかったわね。

梨花ちゃん。
楽しませてもらったわ。
あなたの血と臓物は、本当に素敵なプレリュードだった……。

神である私の手で最後を迎えることができるなんて、みんな幸せ者よ?
ガスで苦しむよりずうっと楽だものね。


「……く、……………断る…!」

………………。
――そうね、アレだけは……私の指揮ミスかしら?
ジロウさんが私を受け入れるとは思ってなかった。
あそこで私を受け入れるような男なら、私はためらいなく殺していた。
けれど――。
「……む、…無駄だ…!君の仲間にはならない……!!」
………それでこそ、ジロウさんよ。
あなたのこと、嫌いじゃなかったわ。
だから。
私の手でとどめはさせなかった。
その死に様を見届けることはできなかった。
あなたを裏切った。
一番大事なものを真っ先に切り捨てたからこそ、あの子たちをもあっけなく殺せたのに。

いつの間にか、タクトをふるう手が止まっていた。
――おかしいわね。
神がこんなことで心を揺るがせてどうするの。
私は神よ。
恐ろしい祟りを引き起こした神。
これだけのことをやり遂げたのだから、何も怖くない。未練もないわ。

私はきっと、地獄に堕ちるわね。
地獄に堕ちた神を、地獄の鬼はどう思うのかしら?

………感傷にひたるのはもうやめ。
そうそう聴けない葬送曲をじっくり鑑賞しなければ。
いつか会えたら、あなたにもこの曲を聴かせてあげるわ。
ね、ジロウさん。
くすくす……。

私は再び愉悦の表情を浮かべながらタクトをふるう――。








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