「少女と魔女と黄金の世界。」 
 


ここは、何もない世界。
すべてが終わり、そして始まる世界。
遠くに聞こえるのは穏やかな波の音。
空を行き交ううみねこの鳴き声。
金色に輝くその世界の中に、一人の少女と気高き魔女がいた。
「ニンゲンは誰も悪くない。何の罪もない。
  だからね、そのためにはベアトリーチェは“要”るの。」
少女は淡々と呟く。魔女はただそれを黙って聞いていた。
「ニンゲンの世界で何が起ころうと、ニンゲンが何をしようと。
 ベアトリーチェが“居”るのなら、そのせいにできる。そうしてしまえば楽なのに、
 もっと早くここに来れたのに、戦人のせいですごく時間がかかった。」
ふっ……。
魔女が鼻で軽く笑った。
魔女を拒み続けた愚かで莫迦な男、けれどそれゆえに自分の空虚を埋めてくれた戦人。
彼とのやり取りを思い出したのだろう。
「だけど、これでもう大丈夫。ベアトリーチェのおかげだよ。
 ――でも、ベアトリーチェはそれでいいの?」
「良い良い!真里亞との戯れも戦人の足掻きも充分楽しませてもらった。」
その細い指で煙管を優雅に弄びながら大らかに笑う。
そして静かに煙管を両手に包み込み。
「妾はもう充分だ。」
「――ベアトリーチェ……」
可哀想な魔女。みんなのために怖くて悪い「魔女」になって……。
潤んだ瞳がそう主張していた。
「泣くでない。可愛い顔が台無しだ。……もうすぐこの世界も妾も消える。
 さあ、最後にあの愛らしい笑顔を見せておくれ。」
「ベアト、リーチェ……っ、」
魔女の姿がまばゆく発光する。
しなやかな手が、身を包む格調高いドレスが、輝く蝶へと変化してゆく。
「――さあ、……真里亞。」
「うん……!」
少女は涙を拭い、そして消えゆく魔女に向かって、魔女が好んでいたあの笑みを――。
「きひひひひひひひひひひひひひひひひ」
「うむ、良い良い……!」
魔女の上機嫌な声が響く。
笑い続ける少女だけを残して、世界のすべてが蝶となって、消えた。

「きひひひひひひひひ、きひひひひひひひひひひひひ……っ!」
少女を残してすべてが消えても、少女は笑い続けていた。
魔女に届くように、何度も、何度も……。
「きひひひひひひひひひひひひ……あ痛っ。」
「なーに変な笑い方してんだぁ?」
「うー、ばとら……。」
――気が付けば、そこは薔薇庭園。
目の前には抜けるような青空の光を受けて生き生きと咲き誇る、一輪の薔薇。
「真里亞の、薔薇……」
「あん?――へえ、この薔薇は真里亞のなのか?綺麗な薔薇だなあ!」
「ここの薔薇はよく手入れされてるから、みんな綺麗なんだぜ!」
「真里亞ちゃん、この薔薇さんには名前はないのかい?」
少女を囲む笑顔のいとこ達。
遠くに聞こえるのは穏やかな波の音。
空を行き交ううみねこの鳴き声。
世界は黄金に輝いてはいないけれど、きっとここは黄金郷――。

「この薔薇はね、……ベアトリーチェ!うー!」








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