やきもち。


「詩音さんったらずるいですわーっ!
今日はにーにーは私と一緒に部活に出るんですのよっ!」
「残念でした沙都子。今日は野球の練習日なんですよ。
……なんでしたら沙都子も一緒に来ます?『監督』も会いたがってますし。」
「――し、仕方ありませんわねぇ…。今日のところはにーにーを譲ってさしあげますけど、
明日は絶対部活に来てくださいませっ!詩音さんもですわよっ!」
「わかった、明日は必ず参加するよ沙都子。」
「ふふ、私はお姉ぇみたいにヌルくはありませんから、そのおつもりで。
…それじゃまた明日です。」
「…うーーーー、詩音、一言多い…。」
「詩ぃちゃん、悟史くん、ばいばーい。」
「また明日なのですよ。」
みんなに見送られて、詩音と悟史が連れ立って教室を出てゆく。
――ある日突然、ひょっこり悟史が帰ってきて以来、すっかり当たり前になった光景。
俺は沙都子や詩音が嬉しそうに(それでも寂しさを交えて)語る話でしか知らなかったが、
やっぱり彼も「部活」の一員で「仲間」だった。
俺も雛見沢に慣れた時のようにすぐに馴染み、今日みたいな日は少し寂しさを覚えるほどだ。
「ったくもう…。……で?今日はなんのゲームをするんですの?」
「そーだねぇ…、」
……………。

「………なあ、沙都子。」
「はい?なんですの圭一さん?…圭一さんまで抜けるのはナシですわよっ!」
「どうしたの圭一くん?なんか真面目な顔してるよ。……るよ?」
「………圭ちゃん?」
「――沙都子……。お前、ちょっと露骨にヤキモチ焼きすぎじゃないか?」
「――け、圭ちゃん?」
「圭一くん?」
「………圭一さん?」
「……………圭一?」
「…そりゃ沙都子にとって悟史がどれだけ大事か俺にだってわかるよ。
でもさ、お前は家でずっと一緒にいられるじゃないか。
月に数回の野球の練習くらいは素直に一緒にいさせてもいいんじゃないか?」
沙都子も詩音も、悟史をあれだけ待ってた仲間じゃないか。
それなのに、常に悟史を挟んで言い争うのは見ていて悲しい。
恒例行事みたいになってはいるが、
いつも沙都子に気を遣いながら共に過ごすのは気の毒だ。
――俺は前々から思っていたことを、勇気を出して一気に言った。

「圭ちゃん……」
「圭一くん……」
「圭一さん……」
「…………圭一」
………………。

………………?

「「「ぷーーーーーーーっ!!」」」

魅音もレナも、そして沙都子も、一斉に吹き出した。
「なーに言ってんの、圭ちゃんってばーっ!あ、あはははははは」
「圭一くん、わかってないっ、わかってないよぉっ……!」
「だっ、ダメですわっ……!私、お腹痛いですわっ」
目尻に涙を浮かべ、お腹を押さえて大笑いする三人。
梨花ちゃんは……俺に背を向けてうずくまっていた。……その小さな肩を小刻みに震わせて。

「………な、なんだよっ!なにがおかしいんだよっ!
俺、なにか変なこと言ったのか?俺は真面目に話してるんだぞっ…!」
「――もう…、わかってませんわね圭一さん。
……私が本気で妬いてると思ってたんですの?」
「………なんだって?」
「――ヤキモチを焼くのは不安な証拠ですわ。相手の気持ちがわからずに、
その苛立ちをぶつけるのがヤキモチでしょう?
今の私に、ヤキモチを焼く必要はありませんわよ。
……だって、にーにーはここにいるんですのよ。どうして不安になるんですの?」
「……………っ、」

……もし私がヤキモチを焼かずに笑って二人を送り出したら。
『詩音さん、にーにー、いってらっしゃいませ〜!
明日は一緒に部活に参加してくださいませね〜。』
私がこう言って笑顔で手を振ったとしたら。
『沙都子のやつ、本当は寂しいくせに、二人に気を遣って必死に堪えて…。
悟史も詩音も、もう少し考えてやればいいのに。』

「――圭一さんはきっとそう思うでしょうね。」
「――――っ、」
その通りだった。図星を突かれて言葉に詰まる。

「詩音さんやにーにーだって、きっとそう。
『可哀想な沙都子』に気を遣ってしまいますわ。――だったら、」
「そうだな………そうだよな。悪かった。………ごめんな沙都子。」
俺は沙都子に素直に謝る。
……そうか、これは「儀式」なんだ。
沙都子が他愛のないヤキモチを演じることで、お互い気兼ねなく過ごせるんだ。
これが沙都子なりの…不器用な二人へのエールなんだと、きっと二人も気付いてるんだ。

「……俺、変な気を回してたんだな…。」
「――圭ちゃん、優しいね。…真剣に考えて言ってくれたのに、笑い飛ばしてごめん。」
「圭一くんも、もうすっかり雛見沢の一員だね。………だね。」
「ボクもいますから心配は要らないのですよ、圭一。」
――そうだ。沙都子が本当に辛いのなら、真っ先に梨花ちゃんや魅音やレナが
どうにかしていたはずなのだ。
「本当にごめんな、沙都子。」
「いいんですのよ。――まったく妬いてないわけでもないんですから。……でも、」
「ん?」

「圭一さんはもっと女心の勉強をしませんといけないですわね。でないと将来苦労しますわよ。
――ね、魅音さん?」
「――な、なんで私に振るのっ、沙都子ってば………っ!」
「うわぁ、魅ぃちゃん顔真っ赤だよ。………だよ?」
「圭一もゆでダコみたいなのですよ。」
「………………っ!――さ、沙都子おぉっっ!!」
「にーにーや詩音さんのことより、ご自分の恋路を第一に考えるべきですわよ☆」
「「うーーーーーーー…。」」
魅音と俺は、にんまりと笑う三人に囲まれて、熱を持つ頬を押さえることしかできない。
――今日の罰ゲームは勝負前から決定したようなモノだな、こりゃ…。








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